2018シーズン エンゼルス観戦記 BY テッド

7月12日(木)エンゼルス対マリナーズ(大谷ボブルヘッドデー)

今朝だったか昨日だったろうか?覚えていないが、嫌なニュースを視た。
スポーツチャンネルの「ESPN」で「ヘルナンデス DL」。
ヘルナンデスとは勿論マリナーズのエース、そしてこの日(12日)の先発である。
「やばい・・・」すぐに不安がよぎった。本来ならば、この3連戦のシアトルの先発はリーク(右腕)-ゴンザレス(左腕)-ヘルナンデス(右腕)の予想で、従って10日と12日は当然大谷は先発出場だと信じていた。

しかし、ヘルナンデスが欠場となれば、12日は左腕のパクストンが繰り上がる可能性もある。
そんな不安を抱えながら、まずは昼間の「暇つぶし」に出かける。

まあ、大抵のファミリー、グループ、カップルは迷わず「ディズニーリゾート」に行くだろうが、我々おっさん2人はタクシーを飛ばして10分程度に位置する「メインプレイスモール」に向かう。

途中フリーウェイから右手に「エンゼルスタジアム」が見渡せる。バックネット後方を通過するので、ナイトゲームの最中にはとても綺麗なシーンが眺めそうだ。

このモールは現地在住の日本人の知り合いに教えてもらった。アメリカの典型的な
ショッピングモールである。スタジアム内の「チームショップ」は、恐れていたように大谷グッズ、特にシャツやユニフォームの日本人向けのサイズ(MやL)はことごとく売り切れている。

従って「アナハイム近辺のモールならば、エンゼルスや大谷のグッズがあり、観光客もあまり訪れないから手に入るのではないか?」とのアドバイスを頂いたのである。

確かにモール内には、有名ブランド店がいくつもあり、「エンゼルスショップ」は無いが、あちこちにMLB、NBAなどの4大スポーツグッズが品揃えされている。
そのなかで、スタジアムでは見つけられなかった大谷の白地、shかもM、Lサイズがあり、すかさず購入。

本来ならここで、フードコートや数あるレストランの中から、ランチでも摂るのだが、何しろホテルの「朝食バイキング」を腹いっぱい食べているのでお腹も空かず、
ささとホテルに戻ろうとしたが・・・。行きのタクシーの運転手さんには、
「ここがタクシスタンドだ」と教えてもらったが、まだ午前中でもあり、待ち受けの
タクシーなど1台も無いばかりか、来る気配も無い・・。であれば、その運転手に
2時間後にまた迎えに来て欲しいと頼めばよかった。

ある店の店主に聞いたら「警備室で聞け」と。そこでタクシーを手配して、約15分後に帰りのタクシーに乗り込めた。ヤレヤレである。やはり恐るべしLA(ANA)。
帰りの手配をキチンとしておかなければ。もっとも今は「Uber」システムを使いこなせれば難なく行き来出来るのであろう・・・まだまだネットやアプリを使いこなせないのが悔しい。

一休みして再びホテルを出発。今度はアムトラックで1駅のフラトンに向かう。
この駅でチケットを購入しようと、窓口に近づいた所、1人の中年のにほんじん男性が近寄って来た。
「アムトラックに乗ったことありますか?」「はい、ありますよ」「ここからLAまで2時間で行くと聞いたけど・・・?」「いや、それはサンディエゴまでです。LAなら40分で行きます」「ああ、そう、ありがとう」
こんな会話を交わした。今更ながら、このアムトラックがエンゼルスタジアムに隣接している事で、この駅でチケットを購入しようと、窓口に近づいた所、1人の中年のにほんじん男性が近寄って来た。鉄道を使って観戦に訪れる日本人観光客もグッと増えたようだ。

列車でわずか10分。「フラトン」駅に到着。日本人には馴染みのない町だが、ここはかつて当時仕事で駐在していた両親が住んでいた町。1979年夏、夏休みを利用して遊びに来た時に家族にとって思い出深き町である。
この駅から商店街を歩くこと5分。小さなモールの中に「PAST TIME」といういわゆる「メモラビリアショップ」がある。店主のトムさんがコレクトしたベースボール主体のお宝ショップで、多数の選手のサインボールや中には「ベーブルース」ゆかりのバット、名選手のグローブなどが処狭しと陳列されている、コレクターには堪らないお店だ。

ここも前出の知人Kさんに連れてきてもらったのだが、ここが1979年に両親と再会し、最初に連れてこられた場所とは奇遇である。
ここは鉄道+徒歩でも来れるので、その後も1人で数度訪れている。8年ぶりだったので最初は良く解らなかったようであるが、自分と撮った写真をプレゼントしたら、徐々に思い出してくれて早速「大谷関連グッズ」を紹介してくれた。

何しろ今、大谷選手は腕(肘)を故障しており、サインをする事は先ずない。
従って数少ない「サイン関係」は10万円以上の値がつくほど高騰している。
さすがにそれには手が出なかったが、せっかくなので「大谷、初本塁打の試合のチケット(実券)と大谷選手のカードセット」を購入した。多分トムさんはさらに割引してくれたようだ。
さらに「マイク・トラウト」のカードまでおまけにくれた。
ご自分の道楽を兼ねて商売しているので、純粋なファンには利益度外視でサービスしてくれる優しいトムさんです(笑)。
彼もまた、今夜のゲームを観戦するようで、笑顔で店を後にした。

ただ、それにしても昼間は暑い。日本も十分暑いのだが、ここLAも渡米直前には40℃超えしたそうだ。
帰りの列車が来るまで駅のカフェでアイスや冷たいジュースを飲んでしばし涼む。

再びホテルに戻りベットに寝そべりながら、繋いだWi-fiでネット情報を確認すると、やはりシアトルの先発は左腕パクストンに変更され、大谷はベンチスタートのようだ。
今日は今回の旅のメイン、「ボブルヘッドデー」であるがゆえに、絶対大谷は先発出場と思いきや、急遽左腕に変更でソーシア監督は頑なに「ベンチスタート」にしてしまった。

後で判明したのだが、当初大谷は左腕投手の打率が低くベンチスタートさせられているとして、一部ファンからは、「決して左腕が苦手ではない」とクレームもあった。
ただ、大谷が打者に専念する事で、本来「二刀流」を続けていれば、登板前後に「休養日」が設けられ、1塁を守る大ベテランのプホルスがDHに入っていた。
しかし、それが出来なくなった故の「苦肉の策」とも言えるようだ。

16:30、球場に到着。そこには開門を待つ長い行列が・・・しかもその多くは日本人。
もう待っている間は「ここはNPBの球場か?」と勘違いするほどだ。
驚いたのは「おばちゃん」の多い事。さすが、大谷は若くてスタイル良くてイケメンだから、若い女性ファンのみならず、オバチャンのハートをがっちり掴んでいる。
勿論、在留邦人、観光客だけでなく、地元のアメリカ人からもみんなに慕われて
なんだかスタジアム前も皆開門をワクワクして待ついいムードだ。

自分の行列の後方で何かザワザワしている。振り返るとそこにはあの「NHK-BS ワールドスポーツMLB」でお馴染みの小宮山悟さんだ!しかも我々同様に律儀に並んでいる。スタッフと同行しているので、メディアサイドは並ぶ事無く、人形を手に入れれると思ったのだが、まあ、これも日本のMLBファン注目のイベントだから、その生の様子を伝えるべく一緒に並んだのかな?

彼は実は2002年のメッツ時代、アトランタでのブレーブス戦で、登板した試合を観戦している。
後半から登板し、延長まで確か5回ぐらい投げた。最後は残念ながら「サヨナラホームラン」を打たれて負け投手になってしまったが、味方が得点していれば、彼にとって初勝利となっていたはずで誠に惜しかった(実際0勝のまま、MLBキャリアを終えている)。
それでも、持ち味を充分出したピッチングでアトランタのファンも「なんであの投手を打てないんだ」とイラついているのが痛快だった。

そんな思い出がある方だけに、「手荷物検査」を終えたところで、写真とサインをねだってしまった。
ただ、それをきっかけに他のファンも押し掛けてしまい、時間のないスタッフから制止される羽目になり、ご迷惑をおかけしました。

しかし、やっとお目当ての「ボブルヘッド人形」を無事手に入れた(この模様はテレビ局各社で、小宮山氏も「WS-MLB」で詳細をリポートしていた。

さて、人形を手にしていたファンの多くは、早速箱から取り出し、思い思いに記念撮影を始めだした。
そりゃまあ皆さん、「インスタ目的」でしょうなあ。
自分の座席の近くにいたオバチャンもグラウンドをバックに自撮りを試みていたが、
うまくいかないようで、友人が気を利かせて撮影した代わりにその人形を借りて
我々も撮影させてもらった。なぜなら箱の中には大量の発泡スチロールクズがあり、
ゴミになるのが面倒だった(まあでもアメリカの球場では、食べ物など座席の下に散らかしても平気なんだが)ので助かった。

大きなお世話と思いながらも「今夜大谷くん、先発出場じゃないみたいですよ」と言った途端、目が点に・・・。
「せっかくチケット買ってきたのに・・・」
そうなんです。この試合はこの「ボブルヘッド・デー」であるからか、他の2試合よりかなり高額に設定され、それでもこのプロモーション目当てでチケットはドンドン売れていった。
額面で通常比よりこの辺の内野席なら100$近く高いのだから、リセールだとなお高いかも?
それだけにせっかく手に入れたのに「欠場(もしくは代打)」とはそりゃ無いぜてなもんで。

しかもこの日は3塁側113secエンゼルスベンチ後方3列目通路側と文句無の座席だ。
周りの観客もかなりの日本人がいる。
試合前の「スターティング・ラインナップ」発表でもいつもの「ナンバー17、ショーヘーイ、
オータニ!」の声が聞かれず、周辺は動揺とため息で変な空気になってしまった。
しかし、今日は44000の「大観衆もがっかりだろう。
この「大谷デー」の一環でスポンサーである「Lチケ」がこの日「始球式」のキャンペーンを行っていて、当選したと思われる日本人の少年がマウンドに立っていた。
少年も「あれ、大谷選手が受けてくれるんではないの?とガッカリしたに違いない。

また、よりによって先発した左腕のパクストンがいきなりフレッチャーに先頭打者ホームラン(MLBのキャリア初)を浴びた後、またプホルスにも本塁打を食らい、
なんと2日前のリチャーズ同様に早々とマウンドを下りてしまった。

先日「ノーヒッター」を演じて、今や左のエースとして、エンゼルスも苦戦必至と覚悟していただけに拍子抜けしてしまった。
おまけにその後しばらくリリーフは全て右腕。「それなら登板回避して右腕先発させときゃ、大谷みれたのに・・・」とぼやく。

状況はさらに微妙なものに・・・。大谷(だけの)ファンにとって邪魔でしかない(笑)プホルスがなんとこの日2本目のホームランだ。昨日は僅か2安打だったのに、一昨日同様に打棒全開。その前にアップトンまで「Back to Back」ホームランで6回終了で9対1.

追加点も無く、リリーフ陣はズルズルと打たれて追いつかれていく今年のエンゼルスなのに、長年のファンである私が観戦に来たら「襟を正して(笑)」投打共に頑張りやがった・・・。
特にプホルスは2005年セントルイス時代にカブスのザンブラーノから豪快に放った1本以来、これで5試合で7試合で4本目の「生本塁打」だ!
なんて相性が良いのだろう。もう大分衰えが見えているのでもう「マルチ本塁打」は観れないかもしれない。

これだけの大差になったので、今日集まったファンの為にせめて「顔見世代打」ぐらいはと期待するも、時より本人がベンチから顔を出すぐらいで、一向に気配が観られない。
試合は11対2となってしまい、まあ、無理して大谷を出す場面でもなくなったのは確かである。

すると周囲はこの大勝ムードに反して、沈痛な面持ちになっていった。
隣にいた小さい娘はなんだか退屈そうだし、後ろのカップルの彼女はすっかりご機嫌ななめ。
彼氏もなんか押し黙ったまま。こちがハラハラしてしまった。

試合終了に近づいて、あきらめきれないファンがベンチから顔出す大谷に一斉にスマホを向け始めた。
結局試合は「主役」であるはずの大谷が出ないまま試合終了。
ベンチ前で同僚と勝利を祝うハイタッチをする大谷にも、多くのファンが押し寄せる。

確かに我々大谷を観るのがメインの観光客はこの3連戦全てを観に来たパターンが多く、初日はフル出場、2日目だ代打とまだプレーの様子を観れた訳だが、今回のみというお客さんも多いだろう。それだけこの日のチケッテオはトップデッキなど
最安値でも50ドルと破格の料金で、1試合だけでもかなりの出費を強いられたはず。

「ボブルヘッド」は無料配布だけど、これでは高い金はらって人形買ったようなものだ」とぼやく人も多かった。

あとがき

でもこの騒動は日本でもニュースで多く取り上げたようで、帰国して職場に戻ったら、普段野球に興味の無いパートさんでも「あの行列に並んでいたの?」と興味深く聞いてきた。一方で予想どおり、「オ^クション」への出品が多数で、1~2万円クラスで出品、入札、そして落札されていた。

いくら多くの日本人が押し掛けたとはいえ、そんなに多くの人形が出品されたとは、
俄かに信じがたい。出どこがローチケであるが故に、球場経由でなく、日本国内から物資が流れてきたのだろうか・・・。

いずれにしても、私のボックスにいまだに箱のまま、保管あされている。
(10月に入った今でもオークションでそこそこの値段で取引行われてますな)

いろいろ物議を醸しだしたこの試合だった。当然ソーシア監督にも非難があったらしいが、これも色んな意見があり、「次の3試合、インターリーグ(ナ・リーグ主催)でプホルスは1塁を守らねばならず、そのためこの試合はDHにした」という意見と「インターリーグでは大谷は代打しか出られないから、その前の試合は左腕であろうとプホルス休ませて大谷を先発させるべきだった」などなど(プホルス予想外に頑張っちゃったけど)。

忘れられない試合となりましたね。



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